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【ヒロアカ】folklore

第23章 神野の悪夢



舞い上がる砂煙。オールマイトの姿は見えなくなり暫しの沈黙。またそれと同時に言の体には嫌な予感が走った。


(……杞憂であって…)


固く目を結び心の中でそう叫ぶ。そして煙が晴れるとオールマイトの姿が現れる。オールマイトの後ろには先程の身動きが取れなくなっている女性が無事に残っていた。しかし他の建物はどこにも見当たらず、女性が挟まれていた建物だけを残し、他の建物はオール・フォー・ワンによって消されてしまっていた。




そして─────────……




『そんな……ひみつが……』




オールマイトの姿は完全にトゥルーフォームに戻り、上空を飛行しているメディアにその姿を撮られ全国にへと中継されてしまった。今までオールマイトが隠し通してきた秘密が世間に晒されてしまい言はその現実に苦痛の表情を見せる。


「頬はこけ、目は窪み!!貧相なトップヒーローだ。恥じるなよそれが本当のキミなんだろう?!」


オール・フォー・ワンはオールマイトに向けて楽しそうに、嘲嗤いながらそう言い放った。しかしオールマイトの目は死んでいない。尚も前を見すえるその瞳にオール・フォー・ワンは残念そうに呟いた。


「…………そっか」

「身体が朽ち、衰えようとも…その姿を晒されようとも…私の心は依然、平和の象徴!!一欠片として奪えるものじゃあない!!」

「素晴らしい!まいった強情で聞かん坊なことを忘れてた。じゃあ”これ”も君の心には支障はないかな…」


強く拳を握りしめたオールマイトを見てオール・フォー・ワンはマスクから機械的な音を鳴らしながら口を開いた。


「あのね…死柄木弔は志村菜奈の孫だよ」


その発言の直後オールマイトの顔から笑顔が消える。


「君が嫌がることをずぅっと考えてた。君と弔が会う機会をつくった。君は弔を下したね。何も知らず勝ち誇った笑顔で」

「ウソを……」

「事実さわかってるだろ?ぼくのやりそうな事だ。あれ…おかしいなオールマイト。笑顔はどうした?」


オール・フォー・ワンはオールマイトを煽るように両手の親指で頬をあげる。


「き…さま…!」


怒りと後悔に打ち震えるように歯を軋ませながらオール・フォー・ワンを睨む。


「やはり…楽しいな!一欠片でも奪えただろうか」

「〜ぉおおお────…!!」





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