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【ヒロアカ】folklore

第22章 途方もない悪意



『……ん…』


言は鬱陶しい頭の痛みでゆっくりと目を覚ます。朧気な視界の中に移るのは薄暗くあまり清掃が行き届いていない部屋だった。どうして自分がここに居るのか。どうしてこんなにも頭が痛むのか。状況が把握出来ない曖昧な記憶の中、怠さが残る体を起き上げようするがふと腕に違和感を感じる。


『何、これ…』


違和感を感じた腕に視線を向けると腕には金属製の手錠がかけられていた。


「目が覚めたか」


手錠を見つめながら困惑する言の耳に聞き覚えのある声が入ってくる。


『荼毘…!』

「目覚めはどうだい、すまないね俺の足が強く君の頭を蹴ったようで」


荼毘は部屋の入口に寄りかかって悪びれた様子もなくただじっと言を見つめて口を動かす。またそんな荼毘を見て言は何故自分がここに居るのか、何故こんなにも頭が痛むのか…林間合宿での出来事を全て思い出した。


『…おかげさまで頭が割れるように痛いわよ』

「そりゃ悪い事をした」


ヘラヘラとした態度で心にも思っていない事を繕う荼毘。そんな荼毘にイラつきを覚えながらも言は冷静を装って口を開いた。


『……ここはどこ、今はいつ、爆豪くん、他の皆は?目的は何?』

「質問が多いな…まァいい、順に説明してやるよ」


荼毘は質問に対して面倒くさそうな表情を浮かべたが相澤の時と違って、話をはぐらかしたり黙秘するという対応は取らなかった。


「ここは俺達のアジトさ詳しい場所は言えない。今はお前たちを攫ってから2日後。なんだっけ、爆豪くん?は隣の部屋で拘束させてもらってる。クラスの人は…知らないな。目的は後で分かる」

(攫われてから既に2日も…?そんなに眠ってたの…?爆豪くんもいるなら下手なマネはできない。目的もハッキリとは言わないし…駄目だ情報が足りない)


全ての質問に答えた荼毘に怪しさを抱きつつも言は頭の中で今説明された話を整理し始める。


「…とりあえずこちらに来てもらおうか」


荼毘に手錠で繋がれた腕を引かれ、隣の部屋に向けて歩き始める。





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