第22章 途方もない悪意
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『飯田さんの声って”よく通る声”なんだよね。そういうのって皆を纏めあげるのにはとても必要な才能だよ』
『大丈夫。飯田さんには皆を纏めあげる才能があるよ。私が保証する』
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───俺は今でも言くんから贈られたこの言葉に救われているんだ。特にUSJで教師の方々に救けを求める為に1人駆けだした時、どれだけの勇気を貰ったことか。
「っ認めてくれたんだ!信じてくれたんだ!!」
───だから悪役になろうとも引き止めるんだ。俺を認め、信じてくれた言くんの為にも。だからやめてくれ……もうこれ以上、俺は兄のような姿になる人を見たくないんだ…!
「君たちが暴走した挙句兄のように取り返しのつかない事態になったら……っ!!」
飯田は殴られたままの体勢で顔を上げようとしない緑谷の両肩を掴む。そして喉の奥から振り絞り、今にも泣き出してしまいそうな声が紡がれる。
「そんな、僕の心配はどうでもいいっていうのか!!僕の気持ちは……どうでもいいっていうのか……!」
「飯田くん……」