第22章 途方もない悪意
荼毘が煽るように轟くんにそう言い放ち、隣にいる仮面を付けた男に命令する。男が個性を解除すると障子くんの目の前には常闇くんが現れ、荼毘の手元には爆豪くんが現れる。
「問題なし」
「言!!」
「かっちゃん!!」
既に限界を超えていると言うのにもう一度立ち上がって尚ボロボロの体で爆豪くんを助けようとする緑谷くんと地面に体を這いつくばらせながら私の名を呼ぶ轟くん。
「来んなデク」
我武者羅に駆け寄る緑谷くんに向けて放った爆豪くんの一言。その言葉と共に私たちはワープゲートの中にへと吸い込まれていった。
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言と爆豪がヴィランに連れていかれた後も生徒や先生たちの奮闘は続いていた。イレイザーヘッドを筆頭に動ける生徒たちは多数の意識のない生徒たちを保護して合宿所を目指し、ある者たちは絶望にうちひしがれる1人の青年の周りに集った。そしてこの現状を指す言葉は……”完全敗北”この4文字であった。
またブラドキングが各所に通報していた為ヴィランが去った15分後、救急や消防が現場に到着。駆けつけた者たちは皆同じようにこの現場の悲惨さに言葉を失い、ただ冷や汗を流しながら全力で事態の鎮静化に身を注ぐしかなかった。
今回の襲撃事件、生徒41名の内ヴィランのガスによって意識不明の重体が15名。重・軽傷者11名。無傷で済んだのは13名。
そして…
【行方不明者2名】
プロヒーローは6名のうち1名が頭を強く打たれ重体。1名が大量の血痕を残し行方不明となっていた。一方ヴィラン側は3名の現行犯逮捕。彼らを残し他のヴィランは跡形もなく姿を消した。
上記の内容に間違いはなく雄英高校1年ヒーロー科林間合宿は最悪の結果で幕を閉じたのだ。