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【ヒロアカ】folklore

第22章 途方もない悪意



私の話を聞いた洸太くんは自身の腕で涙を払いよけ、顔を上げた。そして部屋の中に移動しようとした時、合宿所の廊下からは微かに足音が聞こえてくる。


『鋭児郎!洸汰くんを!!』

「な?!」


部屋にへと向かってくる何者かの足音に気づき、廊下側に立っていた洸汰くんと部屋の中にいた自分の居場所を逆転させるように洸太くんを引き寄せた。無理矢理引き寄せてしまった洸太くんを後ろにいた鋭児郎に預け戦闘体勢に入る。


『ショートカ っ…!』


個性を使おうとした瞬間に頭部に大きな衝撃が走る。合宿所の通路から勢いよく飛んできた蹴りは目の前を暗転させ、私は脳震盪を起こしその場に倒れ込む。


「よォ…また会ったな今度は連れていかせて貰うぜ」


私の目の前に現れたのは荼毘。荼毘の出現に部屋の中で話し合いをしていた相澤先生とブラド先生は急いで戦闘態勢を整え、部屋には彼らの焦燥に駆り立てられた声が響く。


「ブラド!!ここにいるヴィランはこいつ1人のみだ!逃すな!!」

「分かってる!!」

「どうかな? 当たりだせ!」


連携を取り合った相澤先生とブラド先生の前にラバースーツを纏い顔全体をマスクで覆った男が現れる。


「ハッ…どうせアレだろ2回とも襲ったのが俺の偽物一体ずつだったからお前達をここに縛る為だと思ったんだろ?半分は正解だよ…でも”目的のもん”がいるならそんなはずねぇんだよなァ…イレイザーよォ」


荼毘は相澤先生を憐れむような表情でそう言うと床に倒れ込んだ私を抱き抱え、連れ去ろうとする。


「言!」


鋭児郎が私に向かって手を伸ばす。私はそれに答えるように朦朧とする意識の中で手を伸ばす。















が、手が触れる寸前のところで惜しくも届かず鋭児郎の姿はどんどんと小さくなって行く。















『っ……”鋭ちゃん”…!!』

「…そんな! ? うあ゙あ゙…! !」


荼毘に連れ去られる中、鋭児郎の悲痛な叫びだけが聞こえた。





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