第22章 途方もない悪意
嫌な予感を即座に察したブラド先生が扉の近くにいた電気たちを突き飛ばし一緒に地面に伏せる。その瞬間、部屋の扉が大きな青い炎によって破壊され部屋の半分が炎で覆われる。
「皆下がれ!!」
「さっきやられてたヴィラン!!?」
『荼毘…!』
「遅いわ!」
荼毘が生徒たちに向けてもう一度個性を使おうとするとブラド先生が個性を発動して荼毘を壁に押さえつける。
「こんなところまで考え無しのガン攻めか。随分舐めてくれる!」
「操血…強え!」
「そりゃあ舐めるだろ思った通りの言動だ。後手に回った時点でおまえら負けてんだよ」
ブラド先生の圧倒的な動きに息を飲む鋭児郎。いつまでも余裕を見せつける荼毘の言葉に怒りを顕にしていたブラド先生の表情がピクリと動く。
「ヒーロー育成の最高峰と平和の象徴オールマイト。ヒーロー社会に於いて最も信頼の高い2つが集まった。ここで信頼の揺らぐような案件が重なれば……その揺らぎば社会全体に蔓延するとは思わないか?」
『まさかっ…』
「察しがいいな、そう例えば……何度も襲撃を許す杜撰な管理体制。挙句に生徒を犯罪集団に奪われる弱さ」
荼毘は何故この林間合宿で襲撃を実行し、私や爆豪くんを誘拐しようとしているかを壁に押さえつけられながら話す。
「てめー…!だから爆豪と言を…!」
「そういうことかよ?!ザけんじゃねえ!」
「見てろ極々少数の俺たちがおまえらを追い詰めてくんだ」
威嚇し始める電気たちの端で荼毘が体から青い炎を溢れさせた時
「無駄だブラド」
相澤先生が破壊された部屋の入口から飛び込んできて荼毘を蹴り倒す。
「こいつは煽るだけで情報出さねえよ」
「抹消ヒーロー相澤先生!」
相澤先生はそう言いながら荼毘を何度も殴りつける。
「それに見ろ、ニセモノだ さっきも来た」
そう言うと先程のように荼毘は液状になり消えていった。