第21章 林間合宿
自分で口にしていて悲しくなってきたが、それとは別にじわじわと湧いてくる友達と言う実感に私は口角を緩ませた。
『そっかお友達……お友達なんだね』
「俺も友達とか初めてだからわかんねぇけど一緒にいて楽しいって思えたり、笑い合えたらそれはもう友達なんじゃねえのか?だから保須の病院の時で緑谷や飯田、言と友達になったのかと思ってた」
『ハンドクラッシャー轟事件ね』
「馬鹿にしてるだろ」
『ふふ…ちょっとね』
私の冗談に納得のいかない顔を見せる轟くん。しかしその顔はすぐに解れ穏やかな表情に変化する。
「案外俺たち似た者同士なのかもな」
そう言って轟くんは自身の火傷の痕がある左目辺りを手で覆った。その姿を見て私も納得するように静かに頷いた。
『うん…そうかもしれないね』
「明日も早いからそろそろ寝るか」
『そうだね、それじゃあおやすみ。明日も頑張ろう!』
「おう、おやすみ」
薄暗い夜の中、縮まった彼との距離。そして彼のおかげで友達の定義が私の中で変化し、1年A組の人たちは私の中でクラスメイトからクラスメイト兼お友達にアップグレードされた。初めて出来た大勢の友達。その喜びに浸りながら私は静かに眠りについた。