第21章 林間合宿
女子会が終わり皆が寝静まった女子部屋。しかし私は中々寝付くことができず本を読もうとするが皆がぐっすりと寝ているなか灯りをつけるのは気が引けたので、部屋を出て合宿所の中にある多目的ホールで本を読むことにした。
『結構夜だと冷えるなぁ…』
私は本を片手にひんやりとした空気が漂う廊下を少し身震いをしながら歩き、多目的ホールにへと向かう。
『…あれ?轟くん?』
多目的ホールに着くと先客がいたようで、ホールの椅子には轟くんが座っていた。
「あぁ、言か…どうしたこんな時間に」
『私は寝付けなくて本読みに来たの。そう言う轟くんこそどうしたの?』
「そうか、俺も寝付けなかった」
私は轟くんの前の席に腰をかけて本を読もうと思ったが、轟くんがいるのに1人だけ本を読むのも気が引けたので彼に話しかける。
『男子の方って今日どうだったの?なんだっけ、お肉がなんちゃら言ってたよね?腕相撲で勝負するやつ』
数時間前の事、明日の夕食は肉じゃがなのだがその肉じゃがのお肉は豚と牛どちらかしかなくA組・B組でどちらのお肉を使うかを物間さんの挑発によって腕相撲で決めることになったのだ。
「あぁ、腕相撲で勝負したんだが最後の爆豪とB組のやつとの勝負の時に邪魔が入って仕切り直しで枕投げした」
『枕投げ?枕投げってアレだよね枕投げる、アレ…』
本で読んだことはあるが上手く説明する事が出来ず、曖昧な表現をしてしまい変な感じになってしまう。
「そりゃあ枕投げるから枕投げって言うんだろ」
『あ、うん。説明が上手く出来なかった…で、轟くんもやったの?枕投げ』
「あぁ、やった。楽しいなアレ」
轟くんは相当楽したかったのだろう、普段ではあまり見られないほわほわとした顔でそう言った。そして私は轟くんがみんなと楽しく枕投げをしている姿を想像して吹き出した。
「……なんで笑う」
『いや、轟くんが枕投げってちょっと想像出来なくて…!』
「…結局最後は枕を相澤先生とブラド先生に投げちまってすげぇ怒られた」
『怒られたの?!ふふ…まってもう無理…!笑いこらえられない…』
私はとうとう湧き上がる笑いに堪えきれず机に突っ伏しながら笑い始める。そんな私を轟くんは「なんだこいつ」と言わんばかりの顔で見つめていた。