第21章 林間合宿
その後、元々いたワイルド・ワイルド・プッシーキャッツのマンダレイさんとピクシーボブさん。そしてラグドールさん・虎さんも合流して地獄の個性伸ばしの訓練が始まった。
ちなみに私の個性伸ばしの訓練は水分補給を行いながら知識を蓄える為に本を読み、ひたすら個性を使って何かを出し続けるという内容。且つ他にも身の回りのものを個性でインストールしてインストール容量を増やす訓練もしている。とにかくこの訓練は並行作業が多くて頭が今にも爆発してしまいそうだった。
『あれ…今私何してるんだっけ……』
「言自分を見失わないで!!」
訓練中、本当に頭を使い過ぎて自分が何をしているかわからなくなる時があるのでその時は百ちゃんにこうして顔を叩いてもらって意識を引き戻して貰っている。
そして訓練を開始してかなりの時間が経ち、日が沈み始めてきたPM4:00。私たちは炊事場に集まっていた。
「さァ昨日言ったね!世話焼くのは今日だけって!!」
「己で食う飯くらい己でつくれ!!カレー!!」
夕食の材料や器具が準備されたテーブルの前でピクシーボブさんとラグドールさんが声高らかに言い放った。訓練直後なので皆疲労困憊。声に全く覇気がなく半分はやる気のない状態だったが真面目な飯田くんの掛け声で夕食作りがスタートした。
「轟ー!こっちも火ィちょーだい!」
「爆豪爆発で火ィつけれね?」
「つけられるわクソが!」
「ええ…!?」
最初はぐったりとしていた生徒たちだったがいざ始めてみれば皆生き生きと夕飯作りに精を出し、それぞれの役割分担をしっかりとこなしていた。
「皆さん!人の手を煩わせてばかりでは火の起こし方も学べませんよ」
百ちゃんはそう言いながらも個性でライターを作り火をつける。
(百ちゃんの説得力のなさ…)
「いや、いいよ」
轟くんはそう言って竈の薪を整えていた私の隣にしゃがみ、薪に左手を近づけて火をつける。
「わー!ありがとー!!」
火をつけて三奈ちゃんに感謝された轟くんは柔らかい表情をしていた。そんな彼を見て自分の個性としっかりと向き合えてきているのかなと何だか感動してしまいつられて私も顔を綻ばせる。
『轟くんなんか丸くなったね』
「え、俺太ったか?」
『ううん。そうじゃない』
でも天然な所は変わりなさそうだった。