第21章 林間合宿
山肌から薄らと日が昇り林間合宿2日目のAM5:30。私たちは朝早くから合宿所の外に集合していた。早朝の集合ということで寝癖がついている人やまだ眠いのか欠伸をする人もチラホラといる。
「お早う諸君、本日から本格的に強化合宿を始める。今合宿の目的は全員の強化及びそれによる”仮免”の取得、具体的になりつつある敵意に立ち向かうための準備だ。心して望むように」
先程まで欠伸をしていた人やボッーとしていた人も相澤先生の声を聞いて背筋を伸ばす。まるで軍隊のようだ。そして今しがた伝えられた相澤先生の話に皆ゴクリと唾を飲む。
「というわけで爆豪、こいつを投げてみろ」
そう言って相澤先生は爆豪くんに体力テストの際に使用したボールを渡す。
「前回の…入学直後の記録は705.2m。どんだけ伸びてるかな」
「おお!成長具合か!」
「この3ヶ月色々濃かったからな!1kmとかいくんじゃねえの!?」
「いったれバクゴー!」
そう入学から3ヶ月。まだたった3ヶ月と思うかもしれないが私たちが過ごした3ヶ月はかなりに濃密な日々であり、入学当初よりも個性は大きく成長しただろうと皆好記録に期待を高まらせた。爆豪くんはそんな皆を横目に肩慣らしを始める。
「んじゃ、よっこら…くたばれ!!」
爆豪くんが謎の掛け声と同時に勢いよく個性を使ってボールを投げる。朝からこの爆風と爆音は正直遠慮したいものだ。少しすると相澤先生が手に持っている計測器から音がなり結果が表示される。
「709.6m」
「あれ…?思ったより…」
予想とは違った結果にクラスの皆が動揺を示す。
「約3ヶ月間、様々な経験を経て確かに君らは成長している。だがそれはあくまでも精神面や技術面。あとは多少の体力的な成長がメインで個性そのものは今見た通りそこまで成長していない」
そんな相澤先生の言葉を聞いてハッとする。
「だから───今日から君らの個性を伸ばす。死ぬ程キツイがくれぐれも…死なないように…」
相澤先生は不敵な笑みを浮かべながら人差し指を立て、私たちに向けてそう言った。