第21章 林間合宿
食堂ではプッシーキャッツのお2人が料理を振舞って下さり、美味しい夕食を食べ終わった後は入浴の時間。お風呂は満天の星空が広がる露天風呂で湯加減も丁度よくとても気持ちが良かった。そして髪を乾かし終わると露天風呂の方から梅雨ちゃんの「やっぱり峰田くんサイテーね」と言う声と三奈ちゃんの「ありがと洸汰くーん!」と言う声が聞こえた。
『峰田くん絶対にお風呂覗こうとして失敗したのね』
私は呆れながらに脱衣所を後にする。すると脱衣所を出た私の目の前にはぐったりとした洸汰くんを抱えている緑谷くんがいた。
『あっ……れ?緑谷くんどうしたの?』
「あ、言さん実は洸汰くんが壁から落ちちゃって…」
『あぁ、さっきの峰田くんの…』
私は今の話で何があったかを一瞬で理解し、急いで緑谷くんとマンダレイさんの所へ向かう。
「落下の恐怖で失神しちゃっただけだね。イレイザーに1人性欲の権化がいるって聞いてたから見張ってもらってたんだけど…最近の女の子って発育いいからねぇ」
私たちは管理人室にいたマンダレイさんにすぐさま事情を伝えると、緑谷くんは洸太くんをソファに寝かせ、私は洸太くんの額に当てる為に濡れたタオルを用意してマンダレイさんに手渡した。
───相澤先生はマンダレイさんたちに峰田くんの事を性欲の権化と伝えていたのか……いや、もう本当に花丸満点であっているんだけれど。
「とにかく何ともなくて良かった…」
「よっぽど慌ててくれたんだね」
ソファに横になる洸太くんを見て緑谷くんは一安心と息をついた。そしてひと呼吸おいて緑谷くんが口を開く。
「洸汰くんは…ヒーローに否定的なんですね」
「ん?」
「僕の周りは昔からヒーローになりたいって人ばかりで…あ、僕も…でこの歳の子がそんな風なの珍しいな…って思って」
緑谷くんは少し気まずそうな表情をしながら洸太くんがヒーローに否定的な理由をマンダレイさんに聞く。
「そうだね、当然世間じゃヒーローをよく思わない人も沢山いるけど…普通に育ってればこの子もヒーローに憧れていたんじゃないかな」
マンダレイさんは濡れたタオルを洸汰くんの頭に優しくかけながらそう言った。