第21章 林間合宿
PM5:20。夕焼け色の太陽が山に沈んで行く時間帯。カラスの鳴き声が響く山の中から1年A組の生徒はボロボロの状態で現れた。
「やーと来たにゃん」
相澤先生・マンダレイさん・ピクシーボブさんがマタタビ荘と書かれた建物の前で待ち侘びたと言わんばかりに立っている。私たちはやっとの思いで魔獣の森を抜け個性もほぼ使い切った状態だった。
「とりあえずお昼は抜くまでもなかったねぇ」
「何が3時間ですか」
「腹へった…死ぬ」
「悪いね私たちならって意味アレ」
マンダレイさんは顎に人差し指を当てやらしそうに言う。
「実力差自慢の為か…」
「ねこねこねこ…でも正直もっとかかると思ってた私の土魔獣が思ったより簡単に攻略されちゃった。いいよ君ら…特にそこ4人」
そう言ってピクシーボブさんは緑谷くん・轟くん・飯田くん・爆豪くんを指さす。
「躊躇の無さは経験値によるものかしらん?3年後が楽しみ!!ツバつけとこー!!」
疲れきった4人の下に行って焦ったようにツバをかけるピクシーボブさん。そんな彼女の姿を見て相澤先生は困惑したようにマンダレイさんに質問した。
「マンダレイ…あの人あんなんでしたっけ」
「彼女焦ってるの適齢期的なアレで」
「適齢期と言えば…」
「と言えばて!!」
ピクシーボブさんが緑谷くんの顔を力いっぱいにおさえる。
「ずっと気になってたんですがその子はどなたかのお子さんですか?」
緑谷くんはプッシーキャッツの2人の傍にいたツノのついた帽子を被った男の子を見て、マンダレイさんに質問する。
「ああ違う、この子は私の従甥だよ。洸汰!ホラ挨拶しな1週間一緒に過ごすんだから…」
「あ、えと僕雄英高校ヒーロー科の緑谷よろしくね」
緑谷くんは腰を曲げて洸汰くんの前に手を差し出すが、洸汰くんは緑谷くんの急所を全力でグーパンチした。
「きゅう…」
その攻撃を受けて緑谷くんが前屈みになって倒れる。
「緑谷くん!おのれ従甥!!何故緑谷くんの陰嚢を!!」
「ヒーローになりたいなんて連中とつるむ気はねえよ」
洸汰くんは子供から発せられるとは思えぬ言葉を言い放ちその場から去っていった。