第4章 戦闘訓練のお時間
「これだけは君には言わなきゃいけないと思って…!」
緑谷は息を整えながら一呼吸置いて爆豪に話し始める。
「人から授かった個性なんだ」
言はそんな緑谷の衝撃的な発言に目を見開き、先程よりも強く息を潜めた。
───どうしよ…すごく心臓が脈打つ。なんでこんなにも胸騒ぎがするかは分からない…でも私の勘が言ってる。これは私が聞いてはいけない話だ。
「誰からは絶対言えない!言わない…でもコミックみたいな話だけど本当で…!」
爆豪は眉を寄せ口を半開きにして緑谷の顔を見る。
「おまけにまだろくに扱えもしなくて…全然モノに出来てない状態の”借り物”で…!だから…使わず君に勝とうとした!けど結局勝てなくてソレに頼った!僕はまだまだで…!だから…」
そんなたどたどしく話す緑谷を見て爆豪がイラついた表情を浮かべる。
「いつかちゃんと自分のモノにして”僕の力”で君を超えるよ」
緑谷はそう言うと自分は何言ってるんだと言わんばかりの顔をしてハッとする。すると爆豪は緑谷の方に体を向ける。
「何だそりゃ…?借りモノ…?わけわかんねえ事言って…これ以上コケにしてどうするつもりなんだ……なぁ?!」
爆豪は強く歯を食いしばりながら言う。
「だからなんだ?!今日…俺はてめェに負けた!!そんだけだろうが!そんだけ………氷の奴見てっ!敵わねんじゃって思っちまった…!!クソ!ポニーテールの奴の言うことに納得しちまった…クソが!クッソ!!なあ!てめェもだ…デク!」
爆豪は自身の顔に手を当てて目に溜まった涙を拭うように手を振り払う。
「こっからだ!!俺は…!!こっから…!!いいか!?俺はここで1番に”なってやる”!!!俺に勝つなんて二度とねぇからな!!クソが!!」
爆豪が緑谷に背を向けて歩き出した時、オールマイトが凄い勢いで現れ爆豪の肩を掴み話しかける。
「いたー!爆!豪!少年!!言っとくけど…!自尊心ってのは大事なもんだ!!君は間違いなくプロになれる能力を持っている!!君はまだまだこれから…」
「放してくれよオールマイト。あるけねぇ。言われなくても!!俺はあんたをも超えるヒーローになる!」
爆豪は右手で涙を拭いながらオールマイトを睨む。
「あ…うん……教師って…難しい…!!」