第20章 2人の英雄
「ぐっぁぁぁぁぁ!!」
傷を抉られたオールマイトは吐血をし、彼の痛々しい叫びが言たちの耳に響き渡る。
「オールマイト!!!!ぐっ…」
そしてなんとか救けなければと言う衝動に駆られ、緑谷はオールマイトの下に向かおうとするが満身創痍の体に激痛が走り、痛みのあまりその場に蹲ってしまう。
(オールマイト先生の弱点…?!偶然…それともわざと…!!?)
遠目ではあったが明らかにヴィランが攻撃した腹部の場所はオールマイトの古傷がある箇所で、到底偶然攻撃したとは思えない行動だった。そしてオールマイトがヴィランに大ダメージを負わさせられると連鎖するように皆も徐々に追い詰められていく。追い討ちをかけるようにヴィランは金属の塊を次々とオールマイトに打ち込み、彼を潰していく。
「「オールマイトォ!!」」
オールマイトが潰されていく姿に皆の顔が青ざめる。
「さらばだ、オールマイトォォ!」
地面からは鋭い鉄柱が何本も伸び、オールマイトが潰されている金属の塊を貫いた。
「マイトおじ様ぁ!!」
そんな目を背けたくなる光景を見たメリッサの悲痛な悲鳴と共に、誰かがオールマイトに向かって飛び出した。
「デトロイト…スマッシュ!!!!」
飛び出したのは緑谷で、彼はオールマイトが潰されている金属の塊に向かって個性を使いオールマイトを助け出した。
「緑谷少年…!そんな体でなんて無茶な!!」
助けられたオールマイトが満身創痍の緑谷に言い寄る。
「だって…困っている人を助けるのがヒーローだから!!」
痛みで顔を歪めながらもそれが当然の事のように言い切る緑谷。オールマイトはいつになっても変わらない彼の言葉に胸をうたれ、笑顔を見せた。
「…ありがとう。確かに、今の私はほんの少しだけ困っている!手を貸してくれ、緑谷少年!」
「はい!!」
オールマイトが緑谷に手を差し伸べて立ち上がらせる。
「行くぞ!!!」
「はい!!」