第20章 2人の英雄
「とっ……!とっておき過ぎるだろ!!?」
言が作り出した”とっておき”に皆唖然としてその場に立ち竦む。
「まさかその本に書かれていた軍事衛星の設計を全部言霊の力で口にして作り出したのか…?!」
「んなデタラメな……」
言の足元に置かれていた本を見て轟が信じられないと言った面持ちで呟いた。そしてその隣にいた切島は、呆然と作り出された軍事衛星を見上げる事しか出来なかった。
「でも照準はどうすん……!ソレか…!」
『そう…スマホのGPS!』
轟は言の手にしていた携帯電話を見て察しがつき、言は正解と言わんばかりに携帯電話を横に振る。そして───────
『せえの![サテライトレーザー]!』
言が出したサテライトレーザー(電波干渉レーザー)が軍事衛星から放たれ、タワーを全体を覆う。そしてサテライトレーザーが放たれた後ジリジリと迫ってきていた警備ロボットの大群が一斉に活動を停止した。
「とまった…?」
《I・アイランドの警備システムは通常モードになりました》
そうアナウンスされ、無事言の作戦は成功したようだった。
「通常モードに戻ったと言うことは下のプロヒーローたちも…!」
「あぁ、拘束が解かれたはずだ」
「それじゃあオールマイトも…!なら大丈夫そうだな!」
「言ちゃん大丈夫?!」
切島・轟・麗日の3人が顔を見合わせて喜んでいると、目の前に立っていた言がよろけてその場にしゃがみ込み、片膝をつく状態になる。
『あはは……流石にあのレベルの言霊はちょっと無理があったね…』
薄い笑みを浮かべながら言は強がるようにそう口にした。