第20章 2人の英雄
暫く警備ロボットと交戦を続け大分ロボットの数も減ってきた頃、無線機に連絡が入る。言は嫌な予感に駆られながらも無線機を手にする。
『緑谷くんどうしたの』
《言さん!!うぁっ…!メリッサさんがヴィランにやられた!細かいことを説明してる時間が無くて!!言さんならこのタワーにある警備システム…ぐっ!!どうにか、出来ないかな!!?》
無線機の連絡を取ると緑谷はどうやらヴィランと戦いながら言に無線を繋げているようで、彼の声から無線の向う側では熾烈な戦いが起こっていることが想像できた。
『…わかった私が何とかする。緑谷くん…待っててね。必ず救けるから!』
言は覚悟を決めた表情を浮かべて緑谷にそう告げると無線を切って、非常階段にへと走り出す。
「おい、言!どうしたんだ!?」
『ごめん!無茶なお願いだとは分かってるけど、どうにかこの場を持ちこたえて欲しい!』
突然非常階段にへと走り出した言に切島は声を上げる。先程よりかは警備ロボットの数も少なくなった。言がいなくなることで彼らへの負担は増えるであろうが彼女はそれを承知の上でも緑谷に任された役割を遂行しようとしたのだ。
「おい、って爆豪も!」
「待てやコラ!」
轟も言を引き止めるように声をかけた。すると爆豪が大きな爆破で警備ロボットを一掃した後、言の後ろを追いかけて行く。
『……爆豪くん走りながら聞いて』
言が非常階段を駆け下りながら、真面目な顔で爆豪に話しかける。
「…なんだ」
『緑谷くんから無線が入って今このタワーの警備システムを修復する人が誰もいなくなったの』
「!……どうすんだよ」
『私がやる』
「はぁ?!」
『ここに来る時に見たの…”ある物”が書かれた本を。それを使って私が警備システムを止める』
「…しかたねぇ手伝ってやるよ!」
腹を括っている言の姿を見て爆豪は舌打ちをしながら彼女の手伝いを行う決意を固めた。
『ありがとう、爆豪くん…!』