第20章 2人の英雄
その後、突風に煽られたりと不安げな様子もあったが爆豪と轟の助力もあり、緑谷とメリッサは無事タワーの最上階に到着。またタワーの中に入っていく2人を見て言は何かを思い出したように個性を発動させた。
『【ショートカット】[コンパウンドボウ] 』
「何する気だ?」
『ちょっとね』
轟が突然個性を使ってアーチェリー道具を作り出した言に疑問を抱く。そして彼女はとあるものを取り出した。
『お茶子ちゃん”コレ”を個性で浮かせてもらってもいいかな?』
「うん、わかった!」
そして麗日の個性で無重力になったとあるものをアーチェリーの矢に巻き付けて言は射撃の構えをとる。射撃の目標地点は先程緑谷とメリッサが入っていたタワーの最上階だった。
「ここからあそこまで届くのかよ…!?」
『大丈夫、私の個性は言霊。私が入ると言えば……絶対に入る!』
かなり距離のある射撃に不安げな表情を向ける切島。そんな切島に向けて言は笑みを浮かべて自身を鼓舞するように言葉を口にし、矢を放った。放たれた矢は弧を描いて緑谷たちが入っていた建物の中にへと綺麗に吸い込まれていった。
『ほらね、言ったでしょ』
射撃の構えを解いて言はそう得意げに言い切った。
『お茶子ちゃん個性はもう解除しても大丈夫。ありがとうね』
そう言って言にお礼を言われ、個性を解いた麗日は彼女に気になっていた事を聞いた。
「言ちゃん。矢に巻き付けていたものは何だったの?」
『さっき遭遇したヴィランから拝借した無線装置だよ。もしかしたら役に立つかなと思って』
「なるほどさっきの奴らか」
『まぁ、何の連絡も来ないことが1番なんだけどね…』
「とりあえずは何とかなったな」
「でもまだコイツらうじゃうじゃと湧きやがるぜ!どうする!?」
切島の指差す先には未だに厄介な警備ロボットがわんさかと集まっていた。
「んなのコイツら倒すしかねぇだろが!!」
言たちはそんな爆豪の怒気を含んだ言葉と同時に無数に出てくる警備ロボとの交戦を始めた。