第20章 2人の英雄
「ここを片付けたらすぐに追いかける!」
上に遠ざかっていく皆に向けて轟はそう言い放つ。しかし言たちは今の一瞬で何が起きたのか分からず混乱していた。
「どういうことだよ轟!?」
「放送聞いてないのか…」
「いや、放送は聞いてたけど…」
「このタワーがヴィランに占拠された」
轟の簡潔的な説明ではあったがこの異常事態の説明がつき、言たちは驚きと緊張を体に走らせた。
「詳しい説明は後だ、今はヴィランを!」
轟の大氷壁が壊されそうになり言たちは戦闘態勢に入る。
「なんだあの個性……」
「油断すんなよ…」
「せっ!わーとるわっ!!」
そしてヴィランは大氷壁を破壊すると中から怒りを顕にして出てくる。
「ガキどもが……つけあがってんじゃねぇぞ!」
そう叫びを上げるとヴィランの片方が体を変形。体色が紫色に変化し言たちに向かって突進してくる。そこにすかさず轟が個性を使うが、ヴィランは関係ないと言わんばかりに氷を破壊しながらまっすぐこちらにへと進んでくる。4人はその攻撃を避ける。そして爆豪が男の背後を取り爆破するがあまり男には効いておらず、爆豪に襲いかかろうとした。
「?!…なっ!」
「爆豪!……うあっ…!!」
唖然とした爆豪をとっさに切島が庇うが、ヴィランの攻撃を受けてプラントの壁にへと勢いよく吹き飛ばされる。
「切島ァァ!!!」
『鋭児郎!!』
「避けろ!!」
轟の言葉に言と爆豪は上に避け、轟がもう1人の男に向かって個性を使うが止められてしまう。言・爆豪・轟の3人は背中を向かい合わせる状態になる。
『鋭児郎は方は私が』
「おう、任せた」
ヴィランを轟と爆豪に任せ、言は吹き飛ばされた切島のもとにへと駆け出した。
「お前ら…タダのガキじゃねぇな?」
「何者だい!!?」
ヴィランたちが爆豪と轟に問い掛ける。
「答えるか!このクソヴィランがぁ!!」
「名乗るほどの者じゃねぇ…!」