第20章 2人の英雄
「あ゙?なんでてめェもいんだポニーテールの妹! 」
『それはオールマ…じゃなくて緑谷くんと一緒に来たからだよ。あと今だと私もポニーテールでややこしくなるからそのあだ名はちょっと……』
言は危うくオールマイトと一緒にこのI・アイランドに来たことを言いそうになり、咄嗟に言い直す。しかしその言い直しが良くなかったようで爆豪は納得がいかないように歯を食いしばった。
「なんでてめェがデクと…!」
「やめたまえ爆豪くん!!」
爆豪が言に向けて問い質そうとした時、飯田が雄英高校の恥部を晒すまいと爆豪を宥めに入ってくる。ちなみに何故爆豪と切島がこの島にいるかは体育祭優勝者である爆豪が招待状を受け取ったのと切島がそれの付き添いになったという経緯があるからだ。
そしてその後、なんやかんやあって緑谷が口を滑らし切島や爆豪と同様にこのアトラクションに挑戦することになった。緑谷の結果は16秒で第2位。しかし爆豪は記録で勝手いたとしても完膚なきまでに緑谷を負かさなければ自身のプライドが許さないらしくもう一度挑戦しようと声を上げた。その時───────
《キャアー!すごいすごい!14秒!現在トップに躍り出ました!!》
大きな歓声が聞こえてきてアトラクションに目を移すと巨大な氷の塊がアトラクションを覆っており、スタート地点には小さく白い息を吐く轟がいた。
「轟くん?!」
「彼もクラスメイト?」
「はい!」
「皆すごいわねぇ!さすがヒーローの卵!」
「そんなこと…」
「てめぇ、この半分野郎!」
メリッサと話していると爆豪の怒りの矛先は緑谷から轟にシフトチェンジし、彼に向かって客席から飛び出していた。I・エキスポへの招待を受けた父、エンデヴァーの代わりに来た轟は飄々とした態度で爆豪と対面する。そんな態度にイラつきを覚えた爆豪はとうとうアトラクションのMCの人にまで噛みつき始めた。そんな彼の暴走を止めまいと緑谷や飯田、切島が爆豪を押さえるために下にへと飛び降りた。
「フフッ、雄英って皆面白い子ばっかりね!」
『ま、まぁ…退屈はしないです…』
メリッサの口から出た言葉に言は麗日や耳郎、百と顔を見合わせて苦笑いを浮かべながらも、息つく暇もない刺激的な毎日を思い出し頷いた。