第20章 2人の英雄
エキスポ会場にやってきた言たち。知識欲の塊である言は初めて目にする発明品の数々に目を輝かせ、ヒーローオタクの緑谷は会場のあちこちに佇んでいる各国のヒーローに目を輝かせた。そんな2人を見て嬉しそうな表情を浮かべながらメリッサはエキスポ会場のガイドを始める。
特にメリッサがイチオシしたのはガラス張りのサッカースタジアムのようなパビリオンで中には様々なヒーローアイテムが展示されていた。
「実はここに展示されているほとんどのモノはパパの発明した特許を元に作られているの!」
そう誇らしく紹介したメリッサ。愛おしそうな眼差しを展示されているアイテムに向けた。
「ここにあるアイテムひとつひとつが、世界中のヒーローたちの活躍を手助けするの」
「お父さんのこと尊敬してるんですね」
「パパのような科学者になるのが夢だから」
少し気恥しそうに言うメリッサ。
『あの、メリッサさんってこのI・アイランドのアカデミーの……』
「うん。今、3年」
「I・アイランドのアカデミーっていったら、全世界の科学者志望の憧れの学校じゃないですか!」
世界中の科学者が集まるのこのI・アイランドの科学者育成機関。当然、在籍するのは難関中の難関で優秀な人材しか入学は許可されていない。そのアカデミーに入れたということはメリッサは将来有望な科学者の卵と言う所だろう。
「私なんてまだまだ」
『そんな事ないですよ。実は私メリッサさんを雑誌で見かけた事があって……』
「え、そうなの?!何だか恥ずかしいな」
『先日の発表会でお話されていた個性因子論とそれに伴った個性制御装置の発表はとても興味深かったです!他にもメリッサさんが去年とあるコンテストに提出された複合個性所持者向けのサポートアイテムも素晴らしかったです!』
「そうなの!実はそれ……!」
いつの間にやら盛り上がる言とメリッサ。そしてそんな2人の横でぽつんと忘れ去られたように佇む緑谷。1年A組の中では上位の成績に入る緑谷だが、そんな彼でさえ彼女達のレベルの高い難しい話にはついていけなかった。
(言さんもあんな風に、はしゃぐんだなぁ……)
初めて見る言の年相応な姿に緑谷はしみじみと感心した。