第20章 2人の英雄
ゲートを潜り目の前に広がるエキスポ会場。一般公開前だというのに既に会場は多くの人で賑わいを見せており、興味を引かれるものしかないこの夢のような場所に言と緑谷は感嘆の声を漏らした。
「さてと、ホテルの場所は……」
色々な所を見て回りたい所だがまずは手にしていた荷物を預ける為にオールマイトはホテルへの道を探す。しかしその途中でコンパニオンの女性に見つかりそこから彼は大勢のギャラリーに囲まれてしまった。いつも近くにいるから忘れてしまいそうになるが彼は誰もが憧れる世界No.1ヒーローのオールマイトなのだ。
「あそこまで足止めされるとは……約束の時間に遅れてしまうところだったよ」
顔に付けられたキスマークを拭いながらオールマイトはそう呟いた。
「約束?」
約束と言う単語を聞いた緑谷は首を傾げその話を聞くと、なんとオールマイトの古くからの親友がこの島に住んでいるようで、その親友に久しぶりに会うとの事なのだ。またそんな話をしているとどこからか軽妙な音が聞こえ、それと同時に女性の声も聞こえてくる。
「おじさまー!マイトおじさま!」
金髪の長い髪を揺らしメガネをかけた少女が見たことも無い乗り物に乗ってこちらにへと近づいてくる。そしてあっという間に目の前に来た少女は勢いよくオールマイトの胸にへと飛びついた。オールマイトも満面の笑みで少女を抱き留め軽々と持ち上げた。2人は暫く再会の時間に浸るとハッとしたように言と緑谷の存在を思い出し、金髪の少女は言たちに自己紹介をした。
「メリッサ・シールドです。はじめまして」
最初はその少女の登場に目を丸くさせた言と緑谷であったが暫く話を聞くと彼女がこのI・アイランドへの招待者らしく、I・エキスポの開催とオールマイトの親友でもある父の為にサプライズを兼ねて彼を誘ったらしい。
「早くパパを喜ばせてあげなくちゃ。こっちです。マイトおじさま!」
早く自分の父が驚き、喜ぶ顔を見たいが為に先にへと駆け出していくメリッサ。そんな嬉しそうな表情を浮かべる彼女を見て言たちも笑みを浮かべながら彼女の後を着いて行った。