第19章 エンカウンター
爆豪くんの家から暫く歩いて今は雄英高校の正門前。当初は百ちゃんが忘れたスマホをただ届けに行くはずだったのがいつ間にやら私も一緒にプールに行く事のようになっており私は何でこんな事になったのだろうと思い、その不満を吐き出すようにため息をついた。
「鬱陶しいため息吐くんじゃねぇ!!プールに入りに来たんじゃねぇのかよ!」
『ううん。私は元々百ちゃんの忘れ物を届けに来ただけだから』
「まぁ見学だけでもして行けばいいんじゃね!」
『確かに。折角来た訳だし…そうしようかな』
鋭児郎のナイスなアイディアに私は頷く。耳を澄ますとプールの方面から賑やかな声が聞こえてきて、皆既にプールに入っている事が伺えた。
「んじゃ俺たちは水着に着替えてくるからまた後でな!!」
『うん。また後で』
そう言って私は鋭児郎に手を振り、プールにへと繋がる扉を開いて中にへと入って行った。そしてプールを見渡すと男子と女子で別れて行動しており、女子はビーチボールで体を動かし、男子は体力向上のために水中での特訓をしているようだった。
「あれー?!言じゃん!」
「ホントだ!言ちゃんやー!!」
「言!どうなさったのですか?」
プールの中で和やかに遊んでいた1年A組の女の子達は私の姿を見つけると目を丸め名前を呼ぶ。そして百ちゃんがプールから上がり私の傍に駆け寄って来る。
『百ちゃんスマホ机の上に忘れていったでしょ』
「スマホ……ああ!」
駆け寄って来た百ちゃんは私の言葉を聞くと思い出した様に声を上げて開いた口元に手を当てた。
「わざわざ届けに来て下さったのですね!ありがとうございます!ではもう帰るのですか?」
『ううん。折角来たから次いでに見学だけでもしていこうかなって』
「そうなのですね!ではこちらで見学して下さいませ!」
百ちゃんは嬉しそうに私の手を引っ張り日陰のある場所にへと案内した。