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【ヒロアカ】folklore

第2章 踏み出せ第1歩



2月26日、空気の冷たさが肌を刺す季節。口から吐く息が白くなっている事からも相当冷え込んでいるのが伺える。そして長く綺麗な黒髪をたなびかせながらコツコツと靴音を鳴らして歩く少女。


『ここが実技試験会場かな…』


言は寒さで鼻と頬を少し赤らめながら目の前に聳え立つ巨大な建物を見上げ、そう呟いた。彼女が見上げた建物の門には【雄英高等学校 入学試験会場】と大きな看板が立てられていた。

【雄英高校ヒーロー科】
そこはプロに必須の資格取得を目的とする養成校全国同科中最も人気で最も難しく、その倍率は例年300を超える。偉大なヒーローには雄英卒業が絶対条件。そして言も今日雄英高校ヒーロー科の一般入試実技試験に挑む。


「どけデク!!」


会場までの道を歩いていると前方から荒々しい声が聞こえてくる。


「かっちゃん!!」

「俺の前に立つな殺すぞ」


声が聞こえてきた方向に目を向けると2人の男子がいた。制服を見る限り同じ中学のようだがお世辞にも仲が良いとは言えない関係だった。
片方の男子生徒は先に声をかけたのにも関わらず、無視をしてスタスタと足早に会場に向かって行った。彼が去って行くとちらほらと他の受験者が「ヘドロ」という単語を口にする。
残念ながら言はこういう世間の有名人などには疎いタイプなので他の受験者が口にした「ヘドロ」の意味は理解する事が出来なかった。そしてまた視線を戻すと先程声をかけられ無視されていた方の男子生徒がフワフワと宙に浮いていたのだ。


「私の個性ごめんね勝手に、でも転んじゃったら縁起悪いもんね」


女の子は朗らかな笑顔で彼にそう言った。何があったのかと一瞬疑問に思ったが、彼が浮いていたのは彼女が個性を使ったからだと言うことが会話から推測することが出来た。


(いい人…やっぱりヒーローを目指す人は大体こんな感じなのかな?でもさっきの人はいい人とは言い難い感じだったし…)


そんな事を考えていたせいか、先程まで道にいた大勢の受験者の姿が何処にも見当たらず、皆既に受験会場に向かった様だ。


『私も早く会場に向かわなくちゃ』


そう口にして言は慌てた様子で会場にへと急いで駆けて行った。





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