第18章 期末演習試験
道路一面に氷が張り、触れることが出来なくなったセメントスは今個性を発動することが出来ない状態。これでセメントスは降参。とはもちろんいかず、どこに隠し持っていたのかコスチュームからハンマーを取り出して氷の床を叩き破壊し始めた。
『先生、私結構欲張りなんです』
しかし氷を破壊されても焦る様子もなく笑顔を貼り付ける言。セメントスはその彼女の余裕な様子にまだ何かあるのだと確信を得る。
『このまま時間を稼げば鋭児郎と砂糖くんはゴールに辿り着いて条件達成。でもそれだけじゃ私は納得出来ない…判断を間違ってしまった分の挽回をしたい!だから今回の試験。2人はゴールをして、私は先生を捕まえる』
(そこまで考えて…!)
『実はこの道を囲っている壁はただの壁じゃないんです。普段なら壁は一言で出現させますが、私は先程ショートカットでこの壁を作り出しました。つまり”特殊な壁”…この壁は私の知識を詰め込んだオリジナルです!』
冷え込む空間で自身が作り出した壁を指さして不敵に微笑む言。
『化学の実験などで見たことあるでしょうか。ペットボトルから流した水が一瞬で凍る現象を』
最初に壁で1つの空間を作ったのは切島と砂糖を逃がすためでもあったがまた別の理由もあった。これは過冷却実験の特大版。この壁で囲われた空間がお皿で今から降り注がれるのは………
セメントスは冷えきったこの空間で何かを察したようにハッと目を開く。
「まさか!?」
『そう全ては過冷却現象を発生させるために考えた私のシナリオです!【ショートカット】[過冷却水]!』
セメントスの上空に大量の水が現れる。そして彼に降り注いた過冷却水。その水がセメントスに触れた瞬間に凍りつき、彼の首から下は完全に動かせなくなり拘束状態となった。
「見事ですね」
《砂糖・切島・八百万言チーム 条件達成!!》
体にハンドカフスを掛けられて悔しげなを浮かべながらもどこか嬉しさが残る表情をしたセメントスがそう呟いた瞬間、切島と砂糖もゴールに到着したようで試験終了のアナウンスが響いた。
(まさか脱出と拘束どちらの条件も達成してしまうチームがいるとは……これだから教師はやめられない)