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【ヒロアカ】folklore

第18章 期末演習試験



「残念ですがすぐに追いつかさせて頂きますよ!」

『[トリクロロエタン]!』


手に自由を取り戻したセメントスはまだ視界に移る切島と砂糖を逃がさまいと個性を使って行く手を阻もうとする。そして言は迫り来る壁に向かって先程と同様にトリクロロエタンを使い壁を溶かそうとした。


「それは一度見まし…った?!」

『一度大きなインパクトを与えられたモノに意識は逸れやすい…だからトリクロロエタンは囮です。【ショートカット】[壁]』


セメントスはトリクロロエタンを防ぐためにほんの一瞬、個性の集中を言に向けた。そして彼女はその瞬間が来るのを分かっていたのか、僅かな変化を見逃さず個性を使用した。言の見事な視線誘導に惑わされたセメントスは言が作り出した壁でゴールまでの道を遮られ、完全に切島と砂糖に逃げられてしまう。
足止めをくらったセメントスは「してやられた」と悔しさを噛み締めながら、言と視線を交えた。そして言はセメントスから視線を外すことなく続けて個性を使った。


『[雨]』

(雨…?なんの意図があってこの攻撃を…?)


バケツをひっくり返したような大雨がステージに降りかかる。降りしきる大雨、言が作り出した壁で囲われた道路はすぐに川のようになり足元の動きが鈍る。また、言は雨に濡れるのを避けるように翼を広げて空中に飛び、囲われた壁の外でセメントスを見下ろした。


「動きを鈍らせるための策…?しかしこんなもの地形を変えてしまえば…」

『残念ながら違います。[壁]』

「うっ?!!」


セメントスは真下から現れた壁に衝撃を受け、空に打ち上げられる。


『私は初動で”彼”ほどの威力の氷は出せません。が、条件さえ揃えば出来なくもないんですよ』


口角を上げて得意げに話す言。セメントスが視線を下に移すと地面には水が張っていた。そして脳内で今から起こる出来事の想像がつき、冷や汗を流した。


『[凍]』


そう口にした途端、道路に溜まった水は一瞬で氷に変わり、道路一面を透明な結晶で埋めつくした。





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