第18章 期末演習試験
「学級委員決めたときおまえ2票だったろ!」
───確かに入っていたがあれは言が入れたのでは…?
轟の突然の会話に戸惑いを見せる。今はそんな学級委員を決めた時の話などしている場合ではないのに、と。しかしその会話を遮ろうとは考えなかった。明確な理由なんてないけれど今、彼の言葉をしっかりと聞かなくてはいけないと百の勘が冴え渡っていたからだ。
「1票は俺が入れた!そういう事に長けた奴だと思ったからだ!」
自分の視界を覆っていた霧が一瞬で晴れたような気がした。
───あの1票は言の票じゃなかった…?なら、あの時から轟さんは私を認めて下さっていた…?だとしたら…
轟の言葉に溢れだしそうになった声を飲み込む。そして追いついた相澤が百の真上に現れる。
「済んだ?」
───みっともない…!!みっともない!!けれど!!
「轟さん目を閉じて!!」
百はコスチュームに忍ばせていたマトリョーシカを手に取り相澤に向けて放つ。
「んだこれ…」
相澤は目の前に投げ出されたマトリョーシカを手で払うとマトリョーシカの中にはマトリョーシカでないものが入っていた。そして相澤が触れた衝撃でマトリョーシカの中に入っていた閃光弾が起爆。眩く辺りを照らす。
「くっ…」
モロに閃光弾の明かりを受けた相澤は呻きを上げて、光を遮るために両腕で自身の視界を覆った。
「あります!轟さん!私ありますの!」
百は器用に電柱に巻き付けられていた布を外して、撒菱に当たらないように轟をゆっくりと地に下ろす。
「相澤先生に勝利する。とっておきのオペレーションが!!」