第17章 知識を得た者
言が意地を張る爆豪に悪態をつこうと思った瞬間に店員が言達のテーブルにショートケーキを運んできた。しかし誰も頼んでいないはずのケーキの来訪に言は困惑した様子で口を開く。
『え?いや誰も……』
「そいつです」
「かしこまりました」
言が注文間違いだと店員に伝えようとすると飄々とした態度で爆豪が店員にそう言い放ち、顎で言の方をさすと店員は彼女の目の前にショートケーキを置いた。
「ごゆっくりどうぞ」
そんな決まり文句を言って店員は厨房にへと去って行った。
『えっ?え?』
言は突然目の前に置かれたショートケーキに酷く混乱している様子だった。
「食え」
『え??』
「…甘いもん好きなんだろ。いつも食堂で飯食った後は甘いもん食ってんだろうが」
言はそんな爆豪の言葉に目を見開いた。
───意外と見てくれているんだ……これは彼なりの謝罪なのかな
『素直じゃないなぁ…ありがとうね、爆豪くん』
「勘違いしてんじゃねえよキメェ」
『はいはい』
「…それより!!早く勉強始めようぜ!!」
切島はそんな甘い雰囲気を作り出した爆豪と言に何とも言えぬ気持ちを抱えながらも勉強をしようと切り出した。
「もとはと言えばてめェがへんな事言い出すから遅れたんだろうが!!」
「わりぃって!でも爆豪ものったじゃん!あ!ごめんなさい!ナンデモナイデス!!後で何か奢るから勘弁してくれ!!」
切島が爆豪が言を騙すのに乗った話を引き出すと爆豪は手を爆破させる体勢に入ったので切島はすぐに謝り爆豪に何か奢る約束をした。
「たりめーだ!!!」
『あ、もちろん私も』
「えっまじかよー!!!」
こうして言達の勉強会は始まり、切島は何度も爆豪に丸めた教科書で殴られながら学を叩き込まれ、そんな2人を見て言は苦笑しこの先本当に大丈夫なのかと不安を覚えた。