第17章 知識を得た者
すっかりと切島と爆豪の嘘に騙され、2人が笑っている状況が呑み込めず呆然と固まっている言。そんな彼女に机に備え付けられたベルの本当の用途を教えると言は今にも破裂しそうな位に頬を膨らませ、子供のように拗ね始めた。
『信…じられない!!』
怒りを乗せた声が切島と爆豪の耳に流れ込む。テーブルの上に開かれたノートと教科書の上で強く拳を握りしめ、手にしていたシャープペンシルは今にも折れそうだった。とはいかないが、シャープペンシルが悲鳴をあげるぐらいには力強く握られていた。
「わ、わりぃって言…!ちょっとした冗談だったんだよ!」
「簡単に騙されるてめェが悪ぃ」
切島は申し訳ない事をしたと反省しているが、爆豪は微塵も反省していないようだった。その上、こんな安い嘘に騙された言が悪いと言う始末だ。
『鋭児郎も爆豪くん酷い!本当の事だと思ってすごい信じたのに!』
「だからホントにすまねぇ!!やりすぎたと思ってる!!ごめんなぁ…」
切島は顔の前に手を合わせて、子犬のような顔で言を見つめて謝罪をした。
『ま、まぁ…すぐ騙された私も悪かったし…別にいいよ…』
言は切島の子犬のような表情に押し負け、先程の怒りを沈めてすぐに許してしまった。
「良かったぜ〜!!ほら爆豪も!」
「あ゙?なんで俺が…第一最初にあの話を始めたのはクソ髪だろうが!俺は悪くねぇ!」
言に嘘をついてしまった事への許しを得て安堵の表情を浮かべた切島は爆豪の肩を掴んで彼にも謝罪をするように促した。しかし潔く謝った切島と反して爆豪は意地でも彼女に謝らないつもりなのか、自身の肩に置かれた切島の手を払いのけて、事の発端である切島を指さして自分は悪くないと言い張った。なんとも爆豪らしい言い訳だ。
『ふーんだ、別に爆豪くんに謝って貰わなくたっていいも……』
「お待たせしましたショートケーキのお客様はどちら様でしょうか?」