第17章 知識を得た者
言と同じ小学校で同じクラスだったことを切島がさらりとカミングアウトすると
「「…えぇ!?マジ!?」」
上鳴と瀬呂は先程と同様に息ピッタリに大きな声で驚きの声を上げる。
「マジマジ、てか5歳の時からの知り合い。ようは初恋だよ」
「いや〜…なんか少女漫画みてぇ。聞いてるこっちまでキュンキュンしてくるぜ」
「そういうことなら切島はヤオモモとも同じ小学校ってわけか」
「いや…同じ小学校だったのは言だけ。しかもあいつ小5の夏に突然転校しちまったんだよな…」
「ふーん。まぁ金持ちの家って結構複雑だから色々あるのかもな」
「…かもな〜」
「複雑」その言葉を聞いて切島は小学校の時言の苗字が八百万で無かったことは言わないでおいたほうがいいと思い、適当に相槌をうった。
「でもさ、小さい時から一緒ならふつー顔とか覚えてね?しかも切島!この髪色だぜ!絶対目立ってただろ!」
「え、あ、それは……ほら!あいつ結構抜けてるところあるからさ!」
上鳴に痛いところをつかれた切島は咄嗟に苦しい言い訳を口にした。見た目の問題に関しては切島は過去に色々と抱えているようであまり深くは掘り下げたくないようだ。
「あ〜確かに。言ってしっかりしてると思ったら案外天然なとこあるしね」
(そういえば言の見た目も昔とは大分変わってたな…まぁそれに関しては俺もどうこういえる立場じゃねぇし、色々あったのかもしれねぇな…)
微かな疑問を抱えながらも切島は自分の過去の事も重ねながら考えると、深く考察する気にはならなかった。その後、切島達は談笑を交わしながらもしっかりと昼食を摂り、午後の授業を受けるために教室にへと戻って行った。