第17章 知識を得た者
『それにしても爆豪くんが話を合わせてくれて助かったよ。最初は分かってくれないかな?と思ったけどちゃんと分かってくれたから良かった。ウインクしたおかげかな』
私がそう話すと爆豪くんは口をぽかんと開けて、口に運ぶ寸前だったカレーをお皿に落とす。
「は?」
『え、何?』
「今お前なんて言った」
『? 爆豪くんが話を合わせてくれて良かったって』
「いや、その先だ。何したおかげだって??」
『えっと、ウインク』
すると突然爆豪くんが口元を押さえて下を向いた。どうやら笑いを堪えているみたいだった。
『え、何??』
「おまっ、あれが…ウインクだって…っ!?」
爆豪くんはプルプルと身体を震わせ、笑いを堪えながら私に向けてそう言った。
『ウインク以外の何物でもないでしょ』
「ちょっと…もう1回そのウインクとやらをやってみろや」
『良いけど…ほら』
私がウインクをした途端に爆豪くんは手で押さえていた口元を完全に開き、大笑いし始めた。
『何?もしかして私のウインクそんなに変なの?!』
「いっぺん鏡で自分のウインク見てこいや」
『無理よ、ウインクしたら鏡でも自分の姿見れないじゃない』
「ゴホッゴホッ!てめっ、マジでふざけんなよ」
笑いを落ち着かせるために水を飲んでいた爆豪くんだが、私の発言のせいで水が変な所に入ったのか強く咳き込んだ。一体何がおかしかったのだろうか?ウインクをしたら両目が閉じるのは普通じゃないの?両目を瞑ったら前が見えなくなるのは明々白々ではないか。
『え、だってそうでしょ?』
「そうじゃねぇわ。テメェは期末試験の勉強云々の前にウインクのやり方を調べてみろや」
『ちょっと納得いかない。爆豪くんもう1回私のウインク見てくれる』
「マジでヤメロ」