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【ヒロアカ】folklore

第17章 知識を得た者



「んで、どー言うことか説明しろや」


昼休みとなり、私と爆豪くんは食堂に居た。体育祭後から未だに続いているこの昼食を一緒に食べる関係は私達にとっては学園生活の中での当たり前のルーティーンとなっていた。そして普段ならそこまで会話はせずに淡々と昼食を食べて教室まで戻り、解散と言う流れなのだが今日は違う。テーブルに置かれた美味しそうなカレーに一切手を付けずに、爆豪くんからは先程の話を持ち出される。


『言わなきゃダメ?』


茶化すように爆豪くんに上目遣いでそう言うと、鋭い眼光でギロリと睨まれた。


『ごめんて、話す話す。あ、食べながらでいいよ。
…まぁ簡潔に言うと今、百ちゃんとあんまりいい関係では無いの。仲が悪くなったとかそう言うのでは無くて…百ちゃんの精神的問題でね』


爆豪さんはカレーを口に頬張りながら黙って私の話に耳を傾ける。


『体育祭の時から自分に自信を無くしているみたいで。そこは薄々感じてはいたのだけれど、更に職場体験もあまり期待していたものと違ったらしくて。不安や焦り、色々な感情が息巻いてより一層って感じ』

「体育祭、お前に惨敗だったもんな」

『…百ちゃんはホラ、大人っぽいじゃん?才色兼備でさ…人を纏める才もある。だから皆百ちゃんを頼るんだよ。別にそれが悪い事なんて微塵も思わないよ。でも百ちゃんは1人で悩んで抱え込んじゃうタイプだから特に大事な場面とかここ1番って時に限って本当にこれでいいのか、もしかしたら他に最善の方法があるんじゃないかって自分の考えに自信が持てなくなる時が多いの。頭の良さが仇になっちゃうんだろうね』


私は百ちゃんについての話をしながら、自分の中で積もった感情を紛らわすように机の上で自分の指と指を絡ませた。


『ホント百ちゃんは大丈夫なのに……っごめんね、長々と』


どこか遠くを見つめるように話を止めるとハッと現実に引き戻される。私は簡潔に話すと言ったのに必要のない話までしてしまったなと反省して、話の本筋を戻す。


『つまり、百ちゃんの精神的問題が解消されるまで私が深く関わるのは良くないと考え、勉強会を断る口実に爆豪くんと約束していると嘘をつきました』

「簡潔じゃなかったし、話が長ぇ」

『もう、だから謝ったじゃん』


意地悪な返答をする爆豪くんに頬を膨らませながら、自分も昼食を摂ろうと箸を手にする。



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