第17章 知識を得た者
するとショックを受けている電気や三奈ちゃんの様子を見て、百ちゃんが声を掛ける。
「お2人とも、座学なら私お力添え出来るかもしれません」
中間テスト1位の百ちゃん。そんな科挙圧巻である彼女の助け舟は彼らにとって神の一言であった。
「ヤオモモー!!!」
「演習のほうはからっきしでしょうけど…」
百ちゃんは三奈ちゃんに喜ばれるのと同時に自虐を含んだ笑みを浮かべた。その笑みに気がついたのか隣の席の轟くんも不思議そうに百ちゃんを見ていた。百ちゃんが何でこのような行動を取っているのかは重々理解している。でもこれは、私がどうにかしていい問題ではない。百ちゃん自身が乗り越えなければいけない壁なのだ。
「お2人じゃないけど…うちもいいかな?2次関数ちょっと応用つまづいちゃってて…」
「わりィ俺も!八百万、古文わかる?」
「俺もー」
そして電気や三奈ちゃん以外に、8位の響香ちゃんと18位の瀬呂くん。そして9位の尾白くんが百ちゃんに勉強を教わろうと声を掛ける。
「え、え……皆さん!!良いデストモ!!」
「「やったぁ!!」」
頼られた事が嬉しかったのか百ちゃんは大きな笑顔を見せて快く3人を受け入れた。その承諾に響香ちゃんと瀬呂くん、尾白くんの3人も大きく喜んぶ。
「では、週末にでも私の家でお勉強会を催しましょう!」
「マジで!!ヤオモモ家超楽しみー!」
「あぁ、そうなるとまず…お母様に報告して講堂を開けて頂かないと!皆さん!お紅茶はどこかご贔屓ありまして?我が家はいつもハロッズかウエッジウッドなのでご希望がありましたら用意しますわ!もちろん勉強の事も任せてください!必ずお力になってみせますわ!」
クラスメイトに頼られた嬉しさのあまり百ちゃんは1人で話を突き進み始め、その勢いに皆 目が点の状態となり話についていけなくなる。が、
(ナチュラルに生まれの違いを叩きつけられたけど…なんかプリプリしてんの超かあいいからどーでもいいや…)
何故か皆ほんわかとした表情で百ちゃんを見つめていた。
「なんだっけ?いろはす?でいいーよ」
「ハロッズですね!!」