第17章 知識を得た者
時は流れ6月最終週──────…
期末テストまで残すところ1週間を切る。
「全く勉強してねーー!!!」
「あはっはっは!!」
「体育祭やら職場体験やらで全く勉強してねーー!!!」
そして1年A組の教室には勉強をしていない電気の声が谺した。中間テスト21位の彼は大袈裟に頭を抱えて下を向き、20位の三奈ちゃんは意味の無い笑いを発するだけで、2人はもう終わったとでも言わんばかりの空気になっていた。
「確かに」
「中間はまー入学した手で範囲狭いし特に苦労なかったんだけどなー…」
中間15位の常闇くんも焦りがあるのか顔に汗をかきながら電気と三奈ちゃんの言葉に頷いた。また中間13位の砂糖くんは前回のテストと今回のテストの違いを口にし、12位の口田くんはその砂糖くんの言葉に共感するように首を縦に振った。
「行事が重なったのもあるけどやっぱ期末は中間と違って………」
「演習試験もあるのが辛えとこだよな」
砂糖くんの言葉の続きを語るように中間10位の峰田くんが電気と三奈ちゃんに向かって足を組み、ドヤ顔する。
「あんたは同族だと思ってた!」
「おまえみたいな奴はバカではじめて愛嬌出るんだろが…!どこに需要あんだよ…!!」
「世界かな」
峰田くんの煽りとも取れる発言に電気と三奈ちゃんはあからさまに悔しそうな表情を浮かべた。そして緑谷くんがそんな2人に声を掛ける。
「アシドさん、上鳴くん!が…頑張ろうよ!やっぱ全員で林間合宿行きたいもん!ね!」
「うむ!」
中間5位の緑谷くんと3位の飯田くんが彼らに励ましの言葉を送る。
「普通に授業うけてりゃ赤点は出ねえだろ」
「言葉には気をつけろ!!」
そして中間6位の轟くんの悪意が無くとも悪意のある余計な一言が電気に刺さり、電気はその痛みを隠すかの如く胸を押さえた。