第3章 1年A組
波乱の高校生活1日目が終わり、言と百は2人で学校から帰ろうと校舎を出て校門へと続く道を歩いていた時
「おーい!!」
後ろから聞き覚えのある男の人の声が聞こえ、2人が後ろを振り向くとそこには同じクラスの切島が手を振ってこちらに走って来たのだ。彼は2人に追いつくと1度手を膝に当て肩で大きく呼吸をしながら息を整えた。
「引き止めてわりぃ!でも話したいことがあってさ
悪いんだけど言、少しだけ時間貰っていいか?」
『うん、大丈夫だよ』
言は特に断る理由もなく少しだけならと思い百に「待ってて貰えるかな」と伝え、切島と人気が少ない道の隅に移動した。そして待っててと伝えた時の百の表情は期待に満ち溢れた顔で、目をキラキラとさせてさせていた。
(きっと百ちゃんが考えているような話ではないと思うけどなぁ…)
言は心の中でそう呟きながら切島の話を伺った。
「ほんと、突然ごめんな!そんで本題に入るけど…言さ俺の事、覚えてるか…!?」
切島さんの口から出てきたのは百ちゃんが期待していた告白などではなかった。まぁ、そりゃそうでしょうね…。それにしても私と切島さんは昔どこかで会っているのだろうか、私は「うーん」と唸りながら記憶を探ったが切島さんとの記憶は見当たらず首を横に振った。
『ごめんなさい…ちょっと記憶にはないかな…』
切島さんにそう伝えると彼はとても悲しそうな顔で唇を噛み締め何かをグッと堪えるように顔を下に向け「そうだよな…」と消え入りそうな声で呟いた。私はそんな彼の姿を見てとても申し訳なくなった。もしかしたら私が覚えていないだけで本当はどこかで会っているのでは無いかと思い始め 心が痛くなる。
「わりぃ!情けねぇ面見せちまって!」
私が眉を下げ切島さんの様子を伺っているとハッとした切島さんが直ぐに顔を上げて二パッと笑い優しく私の肩を叩いてくれた。
『でも…』
「大丈夫だって!本当に昔の事だから覚えてねぇのも仕方ねぇよ!」