第3章 1年A組
切島さんは納得したとは言い難い表情で私を悲しませまいと明るい声でそう伝えてくれた。私はそんな彼の優しさに胸が締め付けられるように苦しくなる。
『本当にごめんなさい…で、でも思い出した時は直ぐに言うから…!』
言は切島の目を真っ直ぐと見つめギュッと手を握った。そんな言の咄嗟の行動に、切島は顔を赤らめて「お、おう…!」とドギマギしながら返事をする。
『あっ…!ご、ごめんなさい!』
言は直ぐに彼の手をパッと離し頭を下げる。
「い、いや大丈夫だぜ…!じゃ、じゃあこれから3年間改めて宜しくな!」
切島はそう言って笑顔を見せ、手を振りながら帰って行った。切島が去った後、百が言の傍にいそいそと駆け寄ってくる。
「どうでしたか!?告白のお返事は!?」
そして百は食い気味に切島との話を聞いてくる。
『いやいや…告白じゃなかったって…ちょっとした世間話だよ』
「あら、そうなのですか残念」
百はそう言って残念そうな顔を見せた。が、直ぐにその表情を変え口角を少し上げながら目をキラキラとさせて言に問い掛ける。
「ですが先程あの御方の手を握ってましたよね?」
『え!!あっ…そ、それは…』
言は百の鋭い問い掛けに不意を憑かれ上手い返事が思い付かず少し顔を赤くして黙り込んでしまう。
「やはりそう言う事なのですか…!!」
『ち、違うってば!!ほら!もう帰るよ!!』
言はニヤニヤとする百の背中を強引に押して家にへと帰って行った。