第16章 知識を得る者
『ホークスさん…?』
ホークスはいつの間にか、自分でも意識せずに腕の中にいた言を優しく大事に、大切な宝物を包むように抱きしめていた。
「言ちゃん。俺、君に出会えて本当に良かったよ」
『どうしたんですか突然…?』
22歳の大人が女子高生に恋をするだなんて…たった数時間一緒にいただけで愛おしいと思える程に好きになってしまうだなんて馬鹿げていると言われるかもしれない。でも、俺はこの感情を止める方法を知らない。好きなんだ、好きなんだよ。君が好きだ。
だから大人のズルを許してくれ──────
『え…?』
「言ちゃんが俺を忘れないおまじない」
突拍子もなく額に落とされたホークスの口付けは言の思考をショートさせるには十分な威力であった。案の定言は一瞬、何が起こったか分からなくなり目を丸くさせホークスの顔を見上げた。ホークスはそんな彼女のリアクションを楽しむように悪戯な笑顔を言に向けてウインクを放った。
『こ、こんなことしなくても忘れませんよっ!』
今起こった出来事がじわじわと頭で理解していき、口付けを落とされた額を隠しながら顔を真っ赤に染め上げた彼女は大きな声でそう言った。
「ははっ!気を取り直して昼間飛行の続きと行こうか!」
腕の中にいた言の両腕を手に取って彼女が空中でバランスを取れるのを待ち、バランスが取れたのを確認したら彼女の右手を繋いだまま翼を羽ばたかせた。