第16章 知識を得る者
『え?女神?』
先程も見たような光景ではあるが、言はまた同じように首を傾げてホークスの言葉を復唱した。そしてホークスは暫く深呼吸をした後に何事も無かったかのように喋りだす。
「ううん、気にしないで。でも見た感じは特に問題無さそうだけどね。聞いた話だとヒーロー殺しが出た時も飛べてたみたいだし」
『見た目は大丈夫なのですが問題点が色々あって…まず今の段階だと長時間飛ぶことが難しいのと、作る度にこんな感じでコスチュームの背中の方が壊れちゃうんですよね』
そう言って言は青の羽織を脱ぎ、壊れてしまったコスチュームの一部を見せた。羽織を脱いだ言の上半身はノースリーブの黒ネックインナーに中指から二の腕の真ん中まで伸びた黒のロンググローブと男性には少々刺激が強い格好となっている。
「待って言ちゃん!!!今の俺にそれはマズイ!!!!」
案の定ホークスが言の刺激的な格好を目にして倒れ込んでしまった。そして突然倒れ込んだホークスの心配をして言は彼のもとに駆け寄り、顔を覗き込む。
『え?!ホークスさん大丈夫ですか?!』
「あー!!待って待って!近い近い!ガチ恋距離です!」
『ガチ恋…??』
もうホークスの言動に言は振り回されてばかりである。そして先程まで床で悶えていたホークスは何かを察したのか突然体を持ち上げ言の肩を掴む。
「あれ?!ヒーロー殺しの時に個性使ったって言ってたよね?!じゃあこの格好で暫く他のヒーローとかと行動してたってこと?!!」
『まぁそうですね。あの時は色々あってそれどころじゃなかったですし…いや、それよりもホークスさんだいじょ…』
「言ちゃん、もっと危機意識を持って!君は可愛いんだから!」
『かわっ…!』
真剣な面待ちをしたホークスに手を握られながら可愛いと言われると、顔を真っ赤にして照れてしまう言。
「え、何それ可愛い」
追い打ちをかけるように可愛いと言われた言は体を縮こませて小さな声で「ありがとうございます」と呟いた。
(え〜!!?涙が出るぐらいに可愛い〜!!)
そんなホークスの心の叫びは天にまで届いたとかそうでは無いとか。