第3章 1年A組
「まだ…」
相澤は緑谷の諦めていない瞳を見て体の動きをピクリと止める。
「まだだ!!!まだ!!!!最大限で…最小限に…今!!!」
緑谷は大きく腕を振りボールを投げる。計測器からはピピピと音が鳴り画面には705mという数字が表示される。
「あの痛み…程じゃない!!」
緑谷の右手を見ると人差し指が痛々しい赤紫色に変色していた。
『力まかせの1振りじゃなくて指先にチカラを集中させたんだ…!』
「先生……!」
緑谷は目に涙を溜めながらも先程のボール投げで負傷した右手の人差し指を痛みに耐えながら曲げ力一杯に拳を握りしめ相澤に向かって言い放つ。
「まだ……動けます」
「こいつ……!」
相澤は笑を零し「やりやがった」とでも言わんばかりの顔をする。
「やっとヒーローらしい記録出したよー!」
「指が腫れ上がっているぞ入試の件と言い…おかしな個性だ…」
「スマートじゃないよね」
『ほら除籍宣告じゃないじゃ…爆豪さん??』
爆豪は口をあんぐりと開けて、まるで鳩が豆鉄砲を食ったかのような顔をしておりそして彼が大人しくなったかと思った瞬間。
「どーいうことだ!こら!わけを言え!デクてめぇ!」
爆豪は個性を使い緑谷に向かって飛んで行った。
しかし─────
「うわああ!!」
「んぐぇ!!ぐっ…んだこの布 固っ…!!」
「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ捕縛武器だ、ったく何度も個性を使わすなよ…俺はドライアイなんだ」
爆豪は相澤の捕縛武器によって緑谷の近くに行くのを止められる。クラスは相澤の意外な弱点に「個性がすごいのにもったいない」と言いたげな表情を浮かべていた。
「時間がもったいない次準備しろ」
色々とあったものの相澤先生のその言葉でまた個性把握テストが再開される。私とお茶子ちゃんはボール投げを終えた緑谷さんの元にへと駆け寄る。
「指大丈夫?」
『痛そう…固定しようか…?』
「あ…うん…大丈夫!時間もないし次の種目やろう!!」
『ならいいんだけど…』
次の種目の場所に移動する時ふと爆豪さんの顔を見たが悔しさや怒りなど色々な感情が混ざったかのような顔をしていた。