第3章 1年A組
緑谷が投げる構えになったと同時に右腕が入試の時のように光出した。
(やっと個性使うのかな…?)
しかしそんな言の予想は外れ
「46m」
緑谷のボールは全く飛ばなかった。そして当の本人も46mという予想外の記録に驚きを隠せていなかった。
「な…今確かに使おうって…」
「個性を消した。つくづくあの入試は…合理性に欠くよ。おまえのような奴も入学出来てしまう」
「消した……!!あのゴーグル…そうか…!!抹消ヒーローイレイザー・ヘッド!!」
緑谷は相澤の姿を見てハッとした様に彼のヒーローネームを口にする。また、クラスも緑谷の”イレイザー・ヘッド”と言う名前を聞いてざわつき始める。
「イレイザー?俺…知らない」
「名前だけは見たことある!アングラ系ヒーローだよ!」
言は耳をすまして聞いているとあまり公には出ていないヒーローのようだ。
「見たとこ…個性を制御出来ないんだろ?また行動不能になって誰かに救けてもらうつもりだっか?」
「そっそんなつもりじゃ…!」
緑谷さんが反論しようとした瞬間に相澤先生…いや、イレイザーヘッドは自分の体に巻きつけてあった布で緑谷さんを引き寄せた。イレイザーヘッドはなにやら緑谷さんに話をしているみたいだが私たちからは少し遠くて聞こえない。そして暫くするとイレイザーヘッドは個性を解除した。
「彼が心配?僕はね……全っ然」
「ダレキミ…」
「指導を受けていたようだが」
「除籍宣告だろ」
『厳しいね』
「あ?!うるせぇよ!!」
そんな爆豪を無視して言は緑谷に目を向ける。緑谷はボールを強く握りしめながら何やらブツブツと小さな声で呟いていた。
「力の調整…僕にはまだ出来ない…!この一投で”出来る可能性”に懸けるのか?オールマイトも言っていたのに?一朝一夕にはいかないって…!ダメだ…ダメだ」
緑谷は大きく腕を振りかざす。
「見込みゼロ……」