第16章 知識を得る者
ステインが気を失っている事が分かった直後に警察や他のプロヒーローが合流。ステインは強固な拘束を施され警察に連行された。
「お前っあんな危ねぇことしやがって!命が幾つあっても足りねぇ!」
『…ご、ごめんなさい。でも、あれ以上動いたら肺が危なかったから…』
「肺…?とりあえず俺達も念の為病院に行くぞ!」
救急車に運ばれていく緑谷達の横でグラントリノは大きな声を上げ言の先程の無茶な行動を叱っていた。危ないことをしたという自覚はあるのだろうが、言はステインが収容された警察車両をじっと見つめそう呟いた。そんな彼女の発言にグラントリノは訳が分からないと言わんばかりに眉を寄せ、彼女の背中を押しながら救急車に乗り込んだ。
***
そして夜が明け、言とグラントリノは保須総合病院に居た。
『グラントリノさん。緑谷くんたち大丈夫ですか…?』
「心配するな、大丈夫だ」
今、言とグラントリノは保須警察署署長と飯田が職場体験させて頂いていた事務所のプロヒーローマニュアルの後ろをついていきながら緑谷達が入院している病室へ向かっていた。
「おおォ起きてるな怪我人共!」
「グラントリノ!」
「マニュアルさん…」
「言も…」
病室の前に着くとグラントリノはノックもせず容赦なく扉を開けた。そしてそれに続いてマニュアルと言も病室に入室する。
「すごい…グチグチ言いたい…が」
「あっ……す…?」
「その前に来客だぜ」
グラントリノは開口一番に緑谷に説教を始めようとするが今回は先約がある為、見送りとした。そして来客と言う言葉を聞いて緑谷・飯田・轟の3人が同時に立ち上がる。
「保須警察署署長の面構犬嗣さんだ」
そう言われ言の後ろから病室に入ってきたのはスーツを着て、人間の体に犬の頭だけを取って付けたようなビジュアルの人物だった。
「面構!!署…署長?!」
その後…緑谷くん・飯田くん・轟くんの3人は今回の事件でヒーロー殺しを捕らえたという英断と功績を公表せずエンデヴァーさんを功労者として擁立することで3人の処罰はなし。グラントリノさんマニュアルさんは監督不行届で責任を負う事になった。