第16章 知識を得る者
エンデヴァーから言われたアドレスの場所へ着くと怪我をして動けなくなっているのかプロヒーローに担がれた緑谷と右腕から血を流している飯田。そしてとある人物を引きずっている轟がいた。
「む!?やっぱりおまえここに!」
『緑谷くん!!』
そんな彼らの目の前に路地裏からひょっこりと姿を現すグラントリノと言。言は翼を羽ばたかせて緑谷達のもとへ移動しようとするが突然、羽の動きが硬直する。
(やっぱり現状ではここまでが限界っ…!)
やはりまだ未完成のこの能力は長時間使うには無理があったようだ。言は空中で体勢を崩しながらも何とか体幹で踏ん張り地面にへと足をつけて走り出す。
「グラントリノ!言さん!!」
「座ってろっつったろ!」
グラントリノはそう言うと鬼のような形相で容赦なく緑谷の顔に勢いよく蹴りを入れた。
「グラントリノ!!」
「まァ…よぅわからんが、とりあえず無事なら良かった」
「グラントリノ……ごめんなさい」
緑谷はグラントリノに蹴られ鼻血が少し垂れた鼻を抑えながら申し訳なさそうに謝った。そんな彼に、眉をひそめ心配そうな顔をした言が声をかけた。
『心配したんだよ緑谷くん。こんなに怪我して…』
「言さん…ごめん…後なんで羽生えてるの…!?」
緑谷は目をキラキラさせながら質問した。今すぐにでもメモを取りそうな勢いで。そんな緑谷の様子を見てカチンときたのか言もグラントリノと同じぐらいの勢いで彼に一喝する。
『教えるのは後!本当に心配したんだからね!!』
「はい……」