第16章 知識を得る者
『グラントリノさん!!!』
言がグラントリノと合流すると彼は新幹線を襲った脳無と戦っていた。
「言、なんでここにいる!しかもなんで翼が生えてるんだ?!」
『それは────』
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これは職場体験3日目の午前中の出来事。つまり数時間前の出来事である。ルーシーが経営する図書館は空気の入れ替えをするために図書館内の窓を数箇所開けていた。そのお陰で心地よい風が図書館の中に流れてくる。そして窓の近くで読書をしていた言はふと窓の外を眺めとある事を思いつく。
『…ルーシーさん。言霊って使いようによっては空も飛べるんですか?』
「なんだい、急に」
言の近くで本の整理をしていたルーシーは片眼鏡をクイッと上げて言に視線を向けた。
『ふと疑問に思っだけなんですけど…もし飛べたらヒーロー活動に活かせるんじゃないかなって』
「…なら、翼を生やせばいいだろ」
『え?』
「翼をあんたの身体に生やせばいいんだよ」
『翼を…私の身体に…』
「見てな。[翼]」
そう言うとルーシーはいつの間にか手に抱えていた本を本棚にしまい終えていた。そして言のもとに近寄ると彼女は個性を使った。ルーシーの背中には見るものを魅了する様に綺麗な翼が生え、その翼を羽ばたかせると宙にへと浮いた。
『…すごい!』
「言霊の使い方は無限大だよ。空を飛びたいなら翼を自分の身体に生やせばいい。言ったろ言霊使いを強くするのは知識だって。翼の原理をよく理解してそれを自分の身体に生やすだけさ簡単だろ?」
『簡単ではないですがありがとうございます!それなら翼に関する本読まなきゃ!後は鳥類の構造が分かる本とか…〜〜!』
「まったく…本当に手がやける子だよ…」
ルーシーの話を聞いた言は本を探すために走って行ってしまった。そんな彼女の姿を見てルーシーは溜め息を吐きながらもその表情はどこか嬉しそうだった。
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