第16章 知識を得る者
『緑谷くん…ここ、保須市だよね。飯田くん、大丈夫かな……』
言はそんな保須市の光景を見て頬に汗を垂らしながら緑谷に飯田の話を振る。
「落ち着いて下さい!ひとまず席にお戻り下さい!落ち着いてヒーローを待って…」
慌ただしくも冷静に新幹線内で突然の状況にパニックになっている乗客に身の安全を促す運転手。しかしその言葉を遮るように緑谷が声を上げた。
「すいません、僕出ます!!」
『ちょっと緑谷くん!!』
「君!ちょっと!!危ないって!!」
言と運転手の制止を振り払い緑谷は新幹線から降りて保須市へと向かって行った。
『も〜…座ってろって言われたじゃん!』
そう口にしながらも言も新幹線を降りる。
そして──────────…
『これまだ完成してないのに…!』
そんな不満を言いながらも地上から十数mの高さはある新幹線の線路から脇目も振らずに飛び降りる。
『【ショートカット】[翼]!!』
飛び降りるのと同時に個性を使って白銀に輝く綺麗な翼を背中に生やし、言はグラントリノの下にへと飛んで行った。