第16章 知識を得る者
ステインが去った後、言が携帯電話を見ると緑谷から鬼のように電話がかかってきていた。そして彼と連絡を取り合流。グラントリノの家に帰ると二人からのお説教で二日目の職場体験が終了した。
そして三日目の職場体験は図書館でルーシーから借りた本をひたすらに読み続けていた。
「言……言!」
『………あ、はい!なんでしょうルーシーさん?』
今の時刻は午後五時。言はルーシーに名前を呼ばれていることに気が付かず何度目か分からない呼びかけで本の世界から現実に引き戻される。
「まったく…あんたは本を読み始めると別の世界にでも言ったかのようにめり込む…ほれ、準備しなそろそろグラントリノ達がくるよ」
『……準備…??』
言は頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら、呼んでいた本を閉じた。そんな彼女の様子を見てルーシーは溜息を交えながら両手を腰に当てた。
「今日の朝に言ったろ。夕方から職場体験…ヴィラン退治に行くって」
『そうでしたっけ…』
「ほんとにおまえさんは……ほれ、コスチュームは預かってるから着替えてきな!」
そう言ってルーシーはヒーローコスチュームが入ったケースを言の前に突きつけた。
『は、はい!』
言はヒーローコスチュームが入ったケースを抱えて隣の部屋に駆けて行った。