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【ヒロアカ】folklore

第16章 知識を得る者



時刻は太陽が山に沈む時間。言は本を読むのに夢中になっていたがルーシーに今日の職場体験は終わり、と言われ少し物寂しそうに帰り支度の準備をしていた。


『本日は誠にありがとうございました。明日からよろしくお願い致します』


支度も終わり言は図書館の入口でルーシーに向けて優雅にお礼をする。


「明日は9時位にまたここに来ればいいさ」

『はい』

「一応、まだ日は出てるけど気をつけて帰りな」


ルーシーは無愛想にそう言いつつも内心はとても心配していた。年頃の女の子が薄暗い街を出歩くのは普通の人であれば心配するのも当たり前。その上、雄英高校の生徒でこの間の体育祭では3位に入賞し、ある程度有名になっている人物。そんな言を心配するなと言うのも無理な話だ。


『大丈夫です。グラントリノさんの家からそんなに距離もないので』


そう言ってニコニコと笑う言。この言のあまりの危機感のなさ。これもルーシーが心配する一つの要因。彼女は頭を抱えて大きなため息を吐きつつもグラントリノの家にへと帰っていく言の背中を見送った。


「大丈夫かね…」


言を見送り終えたルーシーは不安げな表情でそう呟き図書館の中にへと入っていった。そして言が歩いていった方向はグラントリノの家とは全く別の方向だとその時、ルーシーが気が付くことはなかった。





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