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【ヒロアカ】folklore

第16章 知識を得る者



言はルーシーとお茶菓子を用意し終え、今は二人で黙々と本を読んでいた。二人だけの空間には時計の刻む音だけが響き、少し気まずい雰囲気が漂う。


『…ルーシーさん』


そしてその雰囲気の中言は一度本を読む手を止めて、ルーシーに恐る恐る声をかけた。


「なんだい」

『1つ聞きたいことがあって…』


ルーシーは本から目を逸らすとしおりを挟み言の話を聞く体勢にはいる。しかし中々話を切り出さない言を見てルーシーはやれやれと鼻から息を漏らした。


「言ってごらん」

『さっきスプーンを”ショートカット”せずに出してまたよね?なんでショートカットせずに出せたんですか?人の作り出したものはインストールしなければ出せないはずなんですが…』


言は先程からずっと気になっていた疑問をルーシーに問いかける。そしてルーシーは視線を何処か遠くへ泳がせた後に、何かを理解した表情を浮かべて頬杖をつく。


「あぁ…なるほどね。…それは小難しく考えすぎだね」

『小難しく?』

「スプーンなんて複雑な構造は何も無いだろ?簡潔に言えば金属を地抜してちょっと加工しただけのものさ、それこそ自分で作れる」

『…そっか。作れば』


ルーシーの話に言は目を見開き彼女が言った言葉の意図を理解する。


「理解が早くていいね。一から構造を理解して自分で作る、そうすればインストールしたも同然。つまり自分の脳にインストールした事になるからショートカットを使う必要がないって事さ」

『知識が自分を強くする…こういう事なんですね』

「あぁ、そうさ。これでかなり出来ることの幅が増えたんじゃないかい?」

『はい、新しい事を知る…凄く楽しいです。こうしちゃいられない。たくさん本を読んで何を作るか考えなきゃ…!』


言はそう言って目を輝かせながらまた本を無心に読み始める。


───先に物を作るのではなくより多くの知識を得る為に本を読む、ね…


「読書狂【ビブリオマニア】と言霊使い…いい組み合わせじゃないか」





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