第16章 知識を得る者
自身の名を名乗り年齢に見合わない綺麗な足を組むルーシー。彼女の容姿は本当の年齢を言われても目を疑う程に若々しかった。
───この人がグラントリノさんが私に紹介したいと言っていた人…ルーシー・ラング・ミラクラウスさん…!
『私と同じ個性…!』
「そうさ」
『まさか同じ個性を持った人がいるなんて…』
そんな驚きを隠せない状態の言を見てルーシーは少し憂鬱な表情を浮かべながら口を開く。
「…まぁ、珍しいだろうね。八百万言」
『はい』
「今から職場体験最終日までは私があんたを見ることになる。問題だけは起こさないでおくれよ」
『はい、よろしくお願いします!』
その後、言はルーシーから図書館の構造や仕事の内容を事細かに叩き込まれた。
「とりあえず簡単な説明はこのくらいさ。と言っても滅多に客なんか来ないから必要ないかもしれないけどね」
『え、それなら私は何をすれば…』
「本を読みな」
『本を?』
「まぁ職場体験と言っても要はヒーローになるための修行の一環みたいなもんだろ」
淑やかに紅茶を口に運びながら職場体験の趣旨を話すルーシー。
『そう、ですね』
「あんたは言霊使いだろ。なら本を読むことが1番強くなる方法さ。色々な事を知る、あんたの知識があんたを強くする。言霊ってのはそういうもんなのさ」
そう言いながらルーシーは紅茶を飲み干して空になったカップを机に置く。
『なるほど…』
「さぁ、分かったなら本を読みな。…ついでにお茶菓子でも用意するかね」
一通り言に話を終えたルーシーはそう言って椅子から立ち上がり奥の部屋にへとお茶菓子を用意するために歩いていった。