第14章 心機一転とお友達…?
目から零れる涙を拭こうと目元に手の甲を当てている言と、泣いている彼女の背中をさすろうとした心操。そんな2人の目の前に現れたのは爆豪だった。何ともタイミングが悪い。言が泣いている理由を知らない爆豪の目には、言が心操に泣かされているという構図に映ってしまったのだ。
『ばくご…さ…』
彼女が泣いている姿を見た爆豪は眉を顰め、反射的に心操の胸ぐらを掴んだ。
「おい!!コイツに何しやがった…!!」
『違っ…違うの!心操くんは助けてくれたの!』
勘違いをして強い力で心操の胸ぐらを掴む爆豪を宥めようと言は咄嗟に爆豪に抱きつき誤解を解こうとする。その言動に爆豪は言いたげな顔をしながらも手を離した。
「男3人に囲まれて絡まれてた。当分は1人にさせない方がいいよ。じゃあ」
『あ、心操くん!ありがとう!』
心操は掴まれた胸の辺りを整えながら要点だけを爆豪に話して立ち去ろうとする。言はそんな心操に向けて大きな声で感謝の言葉を述べ、それに答えるように心操は背を向けながらも手を振って校舎の中にへと消えて行った。
「おい、いい加減離せや…」
『え?…あっ!ご、ごめんなさい!!』
爆豪にそう指摘され、謝りながら彼の体に回していた腕を離す。そして爆豪に抱きついたまま心操にお礼を言っていたのだと思い出すと恥ずかしくなり言は心の中で猛省した。
「んで、何があったんだよ」
『?』
「…っ泣いてる理由だよ!!」
そう言って爆豪はぶっきらぼうにズボンのポケットからハンカチを取り出し言の顔に投げる。彼の不器用な優しさに言はまた涙が溢れ出してしまい、爆豪のハンカチを顔の前で握りしめ顔を俯かせた。
『…ありがとうっ』
「泣くな!いいから話せやボケ!!」
『っうん、実は…』