第14章 心機一転とお友達…?
暫く心操に手を引かれて走り続け、男達が追って来ている気配が無いのを確認すると繋いでいた言の手を離し「ここまで来たなら大丈夫だろ」と言って息を吐いた。突然手を引かれて走り出した言は乱れた呼吸を整えるために地面を見つめながら肩で息をした。しかし、いつまで経っても顔をあげない言を心配して心操は声をかける。
「おい、大丈夫か」
『あ…ごめんなさい…今になって震えが』
顔を上げないので言の表情は見えないが言葉通り手や足が震えていた。当然だ、男3人に女の子1人が囲まれて怖くない訳がない。例えそれがヒーロー志望の女の子だったとしてもだ。
『情けないよね…昨日心操くんにあんなこと言っておいて』
「いや、どう考えても昨日のアレとは訳が違うだろ…」
『でも、あのぐらいのトラブル1人でどうにか対処出来るようにならなきゃ……うん…もう大丈夫!なんか迷惑掛けちゃってごめんね!』
無理に作った笑顔を見せる言に心操は眉を八の字にして頭をおさえた。
「あー…昨日の言葉の意味わかった気がする。確かに俺とアンタは似てるよ」
今の言の姿を見ると納得出来た。自分1人で何とかしようとしている所や自己肯定感が低い所。そして1番は物事を頭の中で勝手に決めつけて自分の思いを押し殺してしまう所。そんな所が自分と重なった。
「まぁ、とりあえず怪我とか無くてマジで良かったよ」
『っうん…ありがとう…』
心操の優しい声に安心したのか途端に涙腺が緩み、言の大きな瞳からはポロポロと涙が零れる。
心操もまさか泣かれるとは思っていなかったので突然の彼女の涙にギョッと目を見開き、内心慌てながらも彼女の背中をさすってあげようと手を伸ばした
その時──────
「おい、ソイツに何してやがる」