第3章 1年A組
「あ!そのモサモサ頭は!地味目の!!」
異様な雰囲気が漂うクラスに可愛らしい声が響く。扉の方を見ると言が実技試験を終えた後からずっと会いたいと思っていた麗日の姿があった。彼女は左手を小さく振りながら緑谷に声をかけていた
『お茶子ちゃんっ…!』
そして言は直ぐに自分の席を立ち麗日の元に向かった。
「言ちゃん!!」
麗日も言の姿を見るとハッとした表情をして名前を呼んだ。
『久しぶりだね!ごめんなさい、私あの時すっかり連絡先を聞くのを忘れてしまっていて…』
「ええんよ!ええんよ!私も聞くの忘れとったし今こうして会えたから終わりよければ全て良しだよ!」
『うん!』
「あっ…えっ…と、その…」
2人でわいわいと盛り上がっていると麗日が先に話しかけていた緑谷があたふたと困っている様子だった。
『あっ!ごめんね!会話途切らせちゃって!』
「プレゼント・マイクの言ってた通り受かったんだね!!そりゃそうだ!!パンチ凄かったもん!!」
「いや!あのっ…!本っ当あなた方 2人の直談判のおかげで…ぼくは…その…」
緑谷は独特な照れ方をしながら彼女たちの直談判に助けられたという事を口にする。
「へ?何で知ってんの?」
『私たち言ったかしら?』
2人が緑谷にそう質問すると、彼は押し黙ってしまい目を手で覆い頑なに彼女たちと目線を合わせようとしなかった。
「今日って式とかガイダンスだけかな?先生ってどんな人だろうね緊張するよね」
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」
わいわいと話していた麗日の後ろからは突然低いトーンの男性の声が聞こえてくる。彼女たちは突然の出来事に思考が一時停止。声が聞こえきたのは下からだったので視線を下に向けるとそこには寝巻きに包まれ見た目は草臥れている男性の姿があった。
「ここは…ヒーロー科だぞ」
草臥れた見た目の男性は寝巻きに入りながらゼリーを勢いよく吸い1秒チャージした。